いつもそこにあるもの

好きな人たちを好きなように応援していたいと願うただのひねくれオタク。そんな私の主に現場の記録とか彼らに対する思いとか。良い感情も悪い感情も残します。

人は必死に支え合いながら生きてる - ッぱち! 観劇感想

越岡裕貴主演舞台

「ッぱち!」

 

観てきました。

 

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こっしーの関西弁が大好きな私。

まぁ嫌いな人いないと思うけど。笑

結成日ブログで語ったけど、こっしーは普段標準語なのに、関西弁もネイティブだから、関西人にはたまらないんだよねー。

というわけで、全編関西弁のお芝居なんて楽しみしかない!!と思っていたものの、

公演数結構あったけど、他の観劇予定との兼ね合いで、ッぱちの観劇は大阪公演に凝縮していたんですよね…。

情勢的に、大阪公演危ういかも知れない…ってなった時点で東京のチケットをバッて押さえたので、まぁ私自身としては、結果的には事なきを得たんですが、やっぱりッぱちは大阪で観たかったし、大阪で上演されて欲しかったなぁって思います。

 

そんなわけで、後半日程にしか行くことが出来なくなったため、かなり遅めの6月1日が個人的初日でした。

 

ッぱちは、なんか、強く刺さるとか言うより、じんわり、ゆっくり、心に広がっていく作品だったなって思います。

実際、私、初日が遅かった割にはネタバレ必死で避けていたため、事前に知らされていた設定程度しか知らずに行ったんですけど、

初回観劇の時は、正直、終盤まで、なんかぽやーんとした作品だなぁって思っていて、で、終盤になって雅人の彼女のことが明かされるシーンでは、そこまでの空気感といきなり打って変わってちょっとパニックというか、のっちんと一緒で、

えっ亡くなってるの⁉︎→あ、なんだ生きてるのか良かった〜→えっやっぱり亡くなってるの?

ってなって、

更に、え、手紙は?何?6年前?どういうこと⁉︎

という、混乱の渦に落とされ、頭を整理し切らず終わってしまって、なんか呆然としたままになってしまったんですが、(私の理解力が低すぎるのかも知れませんが)

2回、3回、4回と繰り返し観る内に、把握した上で観る各登場人物の行動や発言や表情は、初回観劇の時には一切理解出来ていなかったことが多すぎて、どんどん切なくなったし辛くもなったし気持ちがあったかくもなって、本当に複数回観ることにしていて良かったなって思ったし、どんどんじわじわと心に残ってゆく作品でした。

 

特に複数回観て良かったと思ったのは、柱の背比べの印かなぁ。

最初にそこに触れるのはのっちんですが、「雅人、幸、ミチル」ってちゃんと言ってるんだけど、そのタイミングではまだ雅人の彼女の名前は出てきてなくて、だから私、初回は聞き流してたんですよね。(そこで頭に留めておかないところが私の理解力の低さなのかも)

だから、その後、その柱を何度か見つめる雅人の意味もわかってないし、その雅人の姿を見つめるミチルの意味も全然わかってなくて。

2回目観劇で、またのっちんが柱の印の名前を読み上げるシーンで初めて、彼女の名前もあるんだ、って気づいて、そしてその後、柱を見つめる雅人のシーンまで来て初めて意味に気づいて、急に泣くっていう。笑

 

そういう、2回目で初めて気づいたことはたくさんあったんだけど、もう一つ重要だったのは、祥子ちゃんが雅人に雪山での話をして発破をかけるシーン。

確かにその後セリフの中で雅人は「発破かけられました」って言ってるんだけど、なんかもうその辺まだ初回はずっとぽやーんと観てるから、もちろん発破かけられたことも分かってないし、「発破かけられた?何それ?」とか考えたりもしてませんでした。

でも2回目で祥子ちゃんのお話の意味の深さに気づいて、祥子ちゃんなりのメッセージなんだ…ってやっとわかりました。

 

あと、御前崎さんが出て行ってしまったかも知れない、ってなるシーンも。

犬のヒロシも御前崎さんも、一番しんどかった時に来て、しばらく一緒にいてくれて、急にいなくなったってミチルは言ってたけど、ヒロシ(犬)が現れた、しんどかった時が、お母さんが亡くなった時だって言うのは言ってくれたけど、御前崎さんが現れた時のことは詳しくは言ってくれなくて、でも色々整理したら、雅人が幸を失って、入院してた頃か回復直後くらいなのか、って、2回目でやっと気づいた。

それも、御前崎さんがまがいもん屋に来たのが1年くらい前、白石ケンが日本に帰って来るのは毎年お盆で年1回、白石ケンが前回来た時は雅人は入院してたし御前崎さんはまだ居なかった、そして雅人が入院してた理由、とか、あちこちに散らばった内容をトータルしないといけないから、最後まで観ないとわかんないけど、最後まで観た時にはもう御前崎さんが現れたのはミチルがしんどかった時だったとか、そんなことはもう忘れてるんだよね…。笑

というか、私が2回目以降で気づいた全部、1回の観劇でネタバレ無しで行って、観劇後、全部整理出来る人なんているのかな。笑

私の注意力が散漫なのは否定しないけど。

 

本当に、2回目からが面白い作品でした。もちろん今までも、複数回観ることで「あ〜なるほど〜!」ってなって楽しめる作品はたくさん知ってるけど、

1回目は大して何も感じてないのに(すいません)、2回目での惹き込まれ方が急激すぎて、こんな経験は初めてでした。

 

愛に溢れた作品だったなぁと思います。

わかりやすい愛とか、壮大な愛とか、そんなんじゃないんだけど、登場人物のひとりひとりが、突飛なキャラクターが多いけど笑、ちゃんと人のことを想っていて、人のことを愛していて、支え合って生きていて。

流れる空気は緩やかだし、あったかい雰囲気なんだけど、水面下で…っていうのかな、表面には見えないところで本当はものすごく必死にギリギリで支え合って生きている感じが、リアルだったし、人生ってこうだよなぁって思いました。

 

そして、全キャストさんが出す空気というかお芝居が全部本当に最高に素敵でした。

めちゃくちゃレベル高かった。

基本的に、笑えるシーンも、手を叩いて声上げて笑うというより、クスクスじわじわ来る笑い、みたいな作品でしたが、

もう皆さんの空気感もテンポ感もめちゃくちゃ上手くて、何回観ても笑えたし、とても楽しませてもらいました。

 

個人的に特に好きだったのは、ミチル役の天野弘愛さん。

結構キャラ濃いし、一見わざとらしいお芝居にも思えるんだけど、これがミチルなんだって思わせられる独特の空気を纏っていたし、ツッコミのテンポも最高だったし、何がと言われると上手く説明出来ないけど、すごく惹き込まれるお芝居でした。

あと、ミチルという役自体も好きでした。

結構、言いたいことをハッキリ言うタイプで、身近にいたら友だちになれそうにないけど(というか私は実はすごく友だちになりたいと思ったけど、ミチルが私を友だちにしてくれない気がする笑)、

あの斜に構えた感じとかすごく共感するから好きだし、

だけどとても兄と兄の彼女のことを想っていて、だけど彼女もかなり苦しんでいて、その想いにはとても切なくなったし、

あと、彼女にとって祥子ちゃんと玉ちゃんという友だちの存在ってとても大事なんだろうなぁって思ってて(3人とも、心を開く友だちって少なそうだから)、

祥子ちゃんが名古屋に行ってしまうのって、ミチルは平気そうに言ってたけどきっとダメージ大きいし、それはきっと祥子ちゃんもわかってるし、祥子ちゃんにとってもそうなんだろうし、

だから祥子ちゃんが雅人に発破かけたのって、雅人自身のことを奮い立たせると共に、それを支えるミチルを自分が離れる前に救ってあげたったのかなぁ、なんて、勝手に妄想して勝手に泣きました。

あ、祥子ちゃんの話になっちゃった。笑

 

そう、もちろん他の皆さんもみんな好きでした。

孝明さんの空気はすごく癒されてとても好きだったし、御前崎さんは途中からすごいペット感だったし、白石ケンはめちゃくちゃ面白かったから出てる間ほとんど笑ってたし笑、祥子ちゃんのかわしてくる笑いもめっちゃ好きだったし、玉ちゃんは、どギツいキャラだったのに、気づいたらめっちゃ可愛く見えてるのすごく不思議だった。笑

なんかもう全員がクセになって、回数重ねる内に、全員の一挙手一投足を待っている私がいました。

推しが1人しか出ていない作品で、「目が足りない」って思うことなかなか無いよ。あっちもこっちも気になって、何してるかわかってても見逃したくなくて、大変でした。

お陰で(あんまり後ろの座席にならなかったのもあるけど)、双眼鏡のほとんど要らない作品でした。ピンポイントで観てる場合じゃなかった。笑

 

そして、お初の室くんは、とりあえずまず、すごかった!

私、室くんのお芝居観るの初めてで、最近は無いけど、前まで出てた少クラで作られたイメージが一番強かったから、元々ガンガン関西弁喋ってる印象の方が強かったんやけど、

今回のお芝居、場面によって標準語と関西弁と両方喋らなアカンかったから、言葉という部分では一番大変やったやろうなぁって思う。

他の登場人物は、みんな関西弁か標準語、どっちかに固定されてたからね。

室くん演じるのっちんにも、結構泣かされたなぁ〜。

のっちんは結構、序盤から、仕事に関して何かあるんやろうな感は強かったけど、小学校の時に体の弱い子に運動会の練習をがんばらせてしまった罪悪感、今の仕事でパクり疑惑をかけられてしまったことと、それよりもそれを信じてもらえなかった仲間に対する辛さ、そういう過去と現在がのっちんの中で繋がってしまったことにおける悲しみ、辛いけど、あるよなぁ、って…。

雅人の話を全て聞いたのっちんが、まがいもん屋の商品全部買うって言ったの、めちゃくちゃかっこよかったです。

結局トータル幾らだったのかとても知りたい。笑

 

そして、こっしー。

まず、関西弁、最高でした。

関西弁で普通に話す時も使わないだろうなっていう言い回しもあったけど、そこはやっぱり脚本の霧島ロックさんが関西の方なので、不自然なセリフは1つも無かったから、こっしーも違和感無く喋ってて、さすがでした。

私、なんかわかんないけど、冒頭の方でお店の説明をのっちんに向かってするシーンの、おじいちゃんの掛け軸の話のセリフ回しすごく好きだったんですよね。

言葉も、話すトーンもペースもめちゃくちゃ良くて、すごくクセになる部分でした。

あと、キュウリをもぐもぐし続けるこっしーには、はちゃめちゃにキュンキュンしました。

かわい過ぎたよね?しかも結構長尺で見せてくれる延々のもぐもぐタイム…。(古い)

もぐもぐしてる途中で、玉ちゃんがのっちんに恋に落ちて鐘の音が鳴るシーン、みんな一時停止するので、ほっぺたぷくってしたまま止まってるこっしーが死ぬほど可愛かったです。

私が観た中で6月3日の公演では、こっしーがきゅうりもぐもぐしながら喋って飛ばしてしまったのか、畳から一生懸命拾ってましたけど。笑

あと、全編通して何回も思ったのは、こっしーって、声高いよなぁって。改めて。笑

 

まぁそんなネタ的な部分もありつつ。

こっしーが、歌もダンスも無いストレートプレイなのも、すごく素朴な役だったのも、私は初体験だったわけなんですけど。

いや、思っていた以上にとても素敵でした。

正直なことを言うと、そこまで期待していなかったと言うのが本当のところで、関西弁でお芝居するこっしーが観られたらそれだけで最高!っていう程度の気持ちで行ったんですけどね。

雅人がずっと醸している、ふわっとした温かい空気がとても好きでした。

私が観たことのあるこっしーの「お芝居」と言えば、SHOWBOYのギャンブラーと厨房男子の颯太先輩くらいなので(ちょっとSHOCKは置いとく)、どちらかというとテンション結構高めなキャラクターばっかりで、

雅人は、テンションが低いとか暗いというわけじゃないし、ニコニコしてるんだけど、一定の落ち着いたトーンがずっと流れているのが、とても心地よかったし、軽率に恋する感じでした。笑

白石ケンにぐいぐい迫られる祥子ちゃんを庇ってくれる雅人とか、めっちゃ素敵だったもんね。きゅんってした。

 

高田翔くんがブログで、こっしーの「ありがとう」の言い方を大絶賛していましたが、それも確かにとても良かったですが、それより私が好きだったのは、相槌の「うん」でした。

特に、クライマックス、のっちんが先に自分の話を始めた時の、「パクってないで」に対する「うん」が本当に好きで好きで、雅人の優しさ、ひいてはこっしーの優しさまでもが滲み出ている感じがして、本当に大好きな二文字でした。

この優しさと言うのは、慈悲深い優しさという意味ではなくて、のっちんの為を思って「うん」って言って「あげてる」って事じゃなくて、のっちんのこと信じてるから出る「うん」だと私は勝手に捉えたんですけど、それがもう、本当に素敵で。

あの瞬間の二文字の空気は忘れられない。

 

忘れられないといえば、もう1つ。

祥子ちゃんに「いつでも遊びに来てね」って言った時、「その時には、全部売れてますよね」って言われたのに対する、「うん、大丈夫」という言葉。

雅人は、本当に全部売れて無くなっているとはこの時はまだきっと思ってなくて、無くなってから踏み出そうと思っている自分をどこかで叱咤したい気持ちがずっとあるから、「無くなってなくても大丈夫だよ」という意味の「大丈夫」なんだと私は思うんだけど、

あの、ちょっと自信なさげな、ちょっと辛そうな、自分に言い聞かせるような「大丈夫」は、素敵だったのとはちょっと違うけど、グッときたし、忘られない瞬間でした。

 

あとクライマックスに戻るけど、幸のことを語り始めるシーン。

初回はさっきから言ってる通り混乱していたのであまり余裕が無かったですが、2回目以降、ニコニコしながら、すごく辛くて悲しい話をする雅人を観ていて、自然と幸のことを必死で探しに行く情景や、幸のことを想い病室で弱っていく情景が鮮明に浮かんできて、めちゃくちゃ泣きました。

劇中の雅人には、そんな感情の激しいシーンは1つも無いのに。

笑顔で、優しい声色で話しているからこそ、より切なさが伝わって来るんですよね。

目が潤んでいる時もあったし。

あそこまで想像力を掻き立てられる感じは、よくありそうで意外となかなか無い体験だった気がします。

 

複数回観て、色々わかった上で観ている内に、色んなこと考えました。

雅人は、何も知らないのっちんや玉ちゃんが彼女の話をしてくる時、どんな気持ちなのかな、とか、そしたら、知ってる孝明さんや祥子ちゃんと話す時は、どんな気持ちなのかな、とか。

雅人の為を思って手紙を送り続けてくれているミチルや、それに協力している孝明さんや祥子ちゃんに対して、本当は幸から手紙が届いているわけじゃないと心のどこかでわかっている雅人は、普段どんなスタンスで接しているのだろう、とか。

パンフの対談で、霧島ロックさんが、実は手紙を実際に送ってくれているのは白石ケンだと明かして、こっしーも室くんもビックリしてて、私もビックリして笑、それでもそれ読んで観劇した2回目は深く考えずに観てたけど、

3回目以降、そうか1年前に白石ケンが来た時はまだ雅人は入院してて、そしてその後、幸からの手紙が届いて回復したことを考えると、1年前に来た時にミチルや孝明さんや祥子ちゃんが白石ケンに相談したかお願いしたんだとしたら、ちゃんと辻褄合うんだなってやっとわかって(辻褄合うのはそういう設定なんだから当たり前だけど)、そしたら白石ケンはただ蚊帳の外から雅人を心配していたわけではなくなって、「元気になって良かった」って、どんな気持ちで言ったのかなって考えたりとか。

劇中の雅人は、白石ケンが協力してることまで気づいてるのかな、気づいてるか気づいてないかで、あの「元気になって良かった」に対する気持ちって違うよな、とか。

 


みんな本当に優しいよね。

雅人が1人で手紙の箱を開けているシーン、それを廊下で見ている孝明さんの表情はとても切なかったし、でも手紙の話をしている時は本当に今も手紙が来ている感じで雅人と話すし、でも雅人が「いつまでもこんなことさせとったらアカンって、わかってるんですけどね」という言葉には、「そらそうやわなぁ」って返す。

雅人が手紙に縋っていることも、でもそれが本当の手紙では無いと気づいていることも、どちらも受け入れてくれている。

孝明さんだって幸の養父なのだから、幸を失った悲しみは相当大きいと思うのに、それは見せないし、あのシーンの最後の、「僕、甘ったれうどん好き」と言うセリフがあまりにも優しくてあったかくて大好きでした。

祥子ちゃんも、孝明さんと一緒で、多分どちらの雅人も理解していて、だから、ハッキリは言わないけど、でもハッキリと雅人にわかる形で、雪山の話をして、「発破をかけた」ってことなんですよね。

雅人がちゃんと理解していることを分かっているからこそ、誰も強くジミーを奮い立たせようとはしないし、強く指摘する人もいない。

2つの気持ちにちゃんと寄り添ってくれる。

ミチルも、両方の雅人を理解しているのかは、劇中ではハッキリとはわからなかったけど、ずっと近くで見ているんだろうから、理解してるんだろうな、って思ったり。だからこそ、幸が雅人に出会った時やプロポーズされた時の手紙を敢えて送ってきたのかもな、と思ったり。これは完全に私の妄想でしか無いけど。

 

なんかもう、愛しか無くて。

心が、きゅーっと切なく、ほっこり暖かくなる、愛。

素敵だったなぁ。

その中で、今回初めて訪れたのっちんは一旦置いておいて、まがいもん屋の日常の中にありながら、事実を知らない玉ちゃんと、知ってるか知らないかわからないけどどちらにしても介入してこないだろう御前崎さんは、濃すぎるキャラで鬱陶しかったりめんどくさかったりするけど笑、多分、ともすれば悲しみに落ちてしまいそうなまがいもん屋の面々(祥子ちゃん含む)の日々を、実は彩ったり支えたりしてるんだろうなぁって思いました。特にミチルのことを。

みんなが、支え合って生きてる。

ミチルは玉ちゃんにキツいツッコミをするし、玉ちゃんはミチルは頭がおかしいと言うし、祥子ちゃんは玉ちゃんに振り回されてるし、孝明さんは御前崎さんにとても腹を立てているし、御前崎さんは孝明さんに迷惑ばかりかけるのにヘリクツだけは立派だし、全然わかりやすく無いけど、本当は必死で支え合って生きてる感じがして、とても心奪われる関係性というか、キャラクターたちでした。

みんな愛しかったなぁ。

 

まぁ、あの、全部私の勝手な解釈ですけどね。

思ったこと思い出したままに書いたら支離滅裂になったね。

いつものことかな。笑

 


今回個人的に脚本もとても良かったと思っていて、こういう悲しかったり切ない話をコメディ交えてやる作品って、今そこは笑わせどころじゃないわ、って違和感かんじたりすることも結構あるけど、この作品にはそれが一切無くて、笑えるシーンも切ないシーンもどちらも全くタイミング外してなかったというか、すんなり受け入れられたのって普通にめちゃくちゃ凄いし、

キャラクター達も、なかなか濃すぎて、表向き自分勝手なこと言うキャラ多かったのに、誰にも一瞬も嫌悪感とか苛立ちとかそういうマイナス感情を抱かなかったのは私にしてはなかなか珍しかったです。

これは、結末のわかってない初回からそうだったから凄い。

舞台だけじゃなくドラマとか映画とかでも、玉ちゃんとか白石ケンみたいなグイグイ来るタイプとか、御前崎さんみたいにめちゃくちゃ言うやつとか、祥子ちゃんみたいにハッキリしない部分のある子とか、私結構苛立ちがちなんやけど、それがなぜか全く無かった。不思議でした。

あと、冒頭での孝明さんの「イチゴのかき氷もメロンと思って食べてたらメロンやった」とか、後半ののっちんの「サラダ食べようと思って買ったら『育てるサラダ』やった」とか、一見ふわっとしたオマケのセリフのようなものも、タイトルにある「ぱち(=パチもん)」を象徴したエピソードなんかもなぁとか思ったら、すごい凝った脚本でしたよね。

度々パチンコが出てきたのも。博打をそういう位置づけにしたかったのかも知れない。わかりやすく「パチ」って呼んでたし。

 


こんなに心掴まれる作品に出会えるとは思ってなかったなぁ。

ポスタービジュアルのコピー、

「はじめからウソやってわかっててん… でも、嬉しかってん。」

この一文だけで今は泣ける。

これから、雅人が、のっちんが、ミチルが、孝明さんが、祥子ちゃんが、どんな風に生きていくのか、

そこに、玉ちゃんや御前崎さんや白石ケンはどんな風に関わってくるのか、

とても知りたいと思う作品であり、とても想像をかき立てられる作品でした。

 


満面の笑みで、全力で前向きに生きていくのって本当に難しい。

本当はそれが幸せだなのだろうけど、それは結局理想像でしかなくて、そんな風に生きられる人はそうそういない。

あの作品に出てくる人々が、これからも、時にはパチもんに縋りながら、1歩じゃなくても、 半歩ずつでも、歩き出して、

全力のハッピーじゃなくても、あのあったかい人との繋がりを失うことなく、生きていってくれたら良いなぁって、心から思います。

そして、私もそんな人生が歩めたらいいなぁって思います。

 

 

ちなみに、東京滞在中にあまりにもッぱちの世界に浸ってしまい、色々調べている時に、ここ風さんの2019年上演版のッぱちのDVDと上演台本が売られていることを知り、

こっしー出てるわけじゃないし台本も今年のじゃないし、どうしようかなと迷いもしたんですが、

他のキャストがほぼ一緒だったから、またミチルや祥子ちゃんや孝明さんや玉ちゃんや御前崎さんに会えるなら…と思ったのもあったし、

霧島ロックさんは今回のキャストに、こっしーや室くんが決まって、台本にちょっと手を加えたと仰ってたので、何が変わったか知れるのも面白いかな、と思って、買ってみました。

 

DVDも観たし、台本も読みました。

やっぱりあの世界に流れる空気が好きだったし、素敵な作品だと再確認出来て良かったのですが、その中で1番ビックリしたのが、

柱の背比べの印の設定が、2019年版には無かった事でした。

とても切なくて素敵で大好きな演出だったので、今回足してもらえて本当に良かったなって思います。

 

あと、映像で観ててやっと気づいたんですけど、この作品、ほとんどBGMが無かったんですね。

確かにセミの声の印象すごい強い…。

始まる前と、玉ちゃんがボーリングするシーンと、ラストで雅人がレコードかけるシーンにしか音楽が無くて、

私結構、感情は音楽によって作られるところがあると思ってるので、それ無しであれだけの空気感作り上げて、こんなに心に残ってるってすごいなって思います。

 

台本読んで新たに気づいたことは、冒頭のあたりの、まがいもん屋についての雅人とのっちんのやり取りのシーンで、

のっちんが孝明さんをお父さんかと思ったら雅人に「違う違う」って言われて、「だよね。あ、そっか」って言うところがあって、

私は観劇中どうしてもこの「あ、そっか」の指す意味が結構考えたのにわからなかったんですけど(雅人がぶった切っておじいちゃんの掛け軸の話するから)、

台本に「あ、そっか(義理の…)」って書いてあって、やっとわかってスッキリしました。

のっちんは、父親じゃないと言われて、じゃあ義理のお父さんか、って思ったってことだったのね。

 

あとこれ結構ネタ的な話ですが、玉ちゃんがコンビニから怒ってやって来るシーンで何人か外国人店員さんの名前が出る中に「ムロドフ」ってあって、室くんに合わせたネタかと思いつつそれならこっしーネタもあっても良さそうなのに無いので、聞き間違いかなって思ってたんですけど、2019年版も結局「ムロドフ」だったのでちょっと笑った。笑

 

2019年版も2021年版もどちらも素敵だったので、キャストが変わっている部分はそれぞれがそれぞれに良かったんですが、

変わってない部分で言うと、

ミチルは今年の方が独特なキャラ感が増してて好きだったし、孝明さんと祥子ちゃんは今年の方がより優しい感じがしたし、玉ちゃんは今年の方がより圧の強いキャラになってたし、御前崎さんは安定的に御前崎さんだったけど笑、孝明さんと言い合うシーンのテンポ感は今年の方がグッと良かったし、

みんな今年の方が色んな意味でパワーアップしてて素敵でした。

 

あと、2019年版の雅人も良かったですが、こっしーが演じる雅人とはちょっとキャラクターが違う感じがして、

改めて、より、こっしー版雅人の好きだったところも認識出来ました。

こっしーの雅人は、とにかく優しさの極みだったんだよなぁ…。

いや斉藤太一さんの雅人も優しい人なんだけど、そっちは、何て言うかなぁ…関西の兄ちゃん!!って感じだったの。

こっしーのはね、ふわってしてた。良い意味で。

言葉の端々とかにふわってした、あったかみがある感じ。

いやもう上手く説明出来ないけど。

さっき熱弁した相槌の「うん」も、ちょっと感じが違って、台本は一緒なんだろうけど、こちらが受け取る意味合いはちょっと変わる気がしました。

すごいよね。お芝居の面白いところなんだろうね。

 

ちなみに斉藤さんは今年の白石ケン役が最高でした。

あの喋り方と間合いが好きすぎて、ずっと笑ってました。

 

 

今回、この作品に出会って、改めて思ったことがあって。

観劇経験を重ねるごとに、素敵な作品に出会うことは今までにもあって、そうやって作品に惹き込まれ過ぎてしまうと、演劇ってなんて素晴らしいんだろうって思って、

私は度々アイドルオタク的感覚(キャーかっこいい~可愛い~好き~的な)を失って観ていることがあって、

更に今回DVDも観て、この世にはたくさん劇場や劇団があって、たくさん俳優さんや作り手の方たちがいて、当たり前というか仕方ないけど、観れば心に刺さるはずの素晴らしい作品が、全然知らないところでたくさん生まれているんだよなぁ、って思って、

そういうのにもっと触れていきたいなぁってすごく思うんだけど、

やっぱりお金も時間も限りがあるし、根はやっぱりオタクなので、

とても極端なことを言うと、全然知らない人たちが作るすごく面白そうな作品と、推しが出ているあまり面白くなさそうだなって思う作品の2択があったら、私は後者にお金も時間も使ってしまうんですよね。

だから、何が言いたいかと言うと、推しが素敵な作品に出会って、導いてくれて、私も出会えるって、なんて幸せでありがたくて尊いことなんだろう、って、今回つくづく実感しました。

今回出会えた「ッぱち!」という作品は、間違いなく私の中でその1つとなりました。

作品もキャストさんたちも本当に全部全部素敵でした!

 

今回、大阪の下町(多分)の、現代劇なんだけどどこか懐かしいあの空気を、大阪で上演出来なかったことがとても残念だし悔しいというのもあるし、

東京公演も、博品館がどうだったかはわかりませんが、ニッショーホールの平日公演は、スペシャルカーテンコール回以外は後方席がほとんど空いていて、こんなに素敵な作品なのに、このご時世のせいであんな客席だったこともとても悔しいので、

またぜひ全く同じキャストで、リベンジがあれば良いなって、思います!

また、雅人に、のっちんに、ミチルに、孝明さんに、祥子ちゃんに、玉ちゃんに、御前崎さんに、白石ケンに、会えますように…

また、まがいもん屋に遊びに行けますように…◎

 

 

★私的観劇公演★

2021年6月1日 

2021年6月2日 昼公演・夜公演

2021年6月3日

(全てニッショーホール)

 

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全然最後に書くようなことじゃないんだけど、話の流れ的に入れ損ねたので、ここに残しとく。

こっしーがきゅうり飛ばして畳から拾ってたって書いたけど、あの日の公演はきゅうりハプニング多くて、室くんも、祥子ちゃんに話しかけられて返事しないといけないタイミングできゅうり口の中に入れ過ぎて返事出来なくなってたし、

三谷さん(御前崎さん役)も、障子の向こうで白石ケンに向かってきゅうりポキッと折って半分渡そうとするシーンで、本来部屋の中には入ってこないのにきゅうりのかけらが飛んでしまって一歩入って拾うハメになってたし、

きゅうりに相当笑わせてもらいました。笑

というかあの日は、こっしーが野菜をカゴに入れて持って来るシーンで、部屋の入口で肩ぶつけて、「あ」って言っちゃって、多分ぶつけた音と「あ」と客席の笑いで状況を察した室くん、ノールックやったのに「大丈夫?」ってアドリブ入れたんさすがやったけどだいぶ笑ったし、

御前崎さんが、孝明さんに氷のために渡されたお金をパチンコでスって帰って来たシーン、孝明さんの指示通りの位置に立たせて「かき氷の人帰ってきましたよー!」って言うはずのところを室くん、「かき氷帰ってきましたよー!」って叫んでしまって三谷さんに「誰がかき氷や!」ってツッコまれてたのもかなり笑いました。

小さなハプニングだらけの日やったな。笑

こっしーの日替わりモノマネも面白かったし(井上陽水めっちゃ笑った。声ちっちゃい?これ限界、ってやつ笑)、6月1日のスペシャルカーテンコール回でこっしーが室くんを墓場出身にしたのは私も「!?」ってなったし笑、

もちろんアドリブやハプニング以外もいっぱい笑えるとこあって、切なくて胸がきゅーってなる物語でありながら、とても楽しい楽しい作品でした。